『真贋』- 時代を超える普遍性 –

読書

年が明けたと思いきや、既に1月も半ばを過ぎてしまいました。
本当に寒い日が続きますね。先週の木曜日(1/6)なんて、雪が降って積もるわで電車通勤の方は特に大変だったかと思います。
かくいう私も電車が10分程度遅れた為、駅のホームでクソ寒い中待つ羽目になり大変だったなぁ…💦

ここ最近は天気が良い日が続いてますけど、寒さは相変わらずですね。
せっかくの休日、天気が良くともついついコタツから出られなくなる…
そんな時はスマホをイジって時間を潰しがちですが、それだとあまりにも勿体ない。
(私もついスマホで漫画読んだりして時間潰してしまうけど)
どうせなら読書して、参考になりそうな考え方を学んでみたいもの。
今回はそんな「考え方」を学ぶのにおススメの書籍を感想と共に紹介します。

『真贋』

https://www.amazon.co.jp/dp/4062770059/ref=cm_sw_r_tw_dp_GSJQNZTNF5HZZ1001HMP

作者は詩人・評論家の吉本隆明氏。
作家の吉本ばなな氏の実父でもあります。

吉本氏は戦前・戦中・戦後を生き抜いた方であり、思想活動における戦争論において定評のある方。
思想・評論活動においては戦争論、文学、宗教、政治、社会…あらゆる分野において活動しており、
数多くの書籍を刊行しております。

吉本隆明 - Wikipedia

『真贋』に関してはエッセイであり、吉本氏が今まで活動してきた中で考えてきた事を述べております。
あくまでエッセイなので、政治や社会などの専門知識に自信がない方でも読める一冊となっております。
「あらゆるものにも毒と利がある」「良作とは何か?」など吉本氏の思考は現代を生きる我々にとっても参考になる点が多いと思います。

時代を問わず通用する吉本氏の思考

この項目においては『真贋』を読んで、特に印象深かった点について幾つか紹介していきます。

あらゆるモノに毒と利がある

仕事・文学・人間…この世に存在するモノ全てに言える事ですが、決して一枚岩ではないという事ですかね。
何事にも毒と利、善と悪、長所と短所がある。更に深く考察・観察を重ねていけば色々な面を持っているもの。

「本を読むということには、毒とともに利がある」

30ページ 1.善悪二元論の限界

本書では読書の効用を例にして述べております。
文学やビジネス書や政治や経済などの社会評論、果ては漫画も含め、読書をすれば色々な知識や考え方を学ぶ事が出来ます。
しかし書籍によっては犯罪、事故、災害などネガティブな事柄も取り扱っている作品もあります。
または作者のご都合主義丸出しの漫画や小説などのエンタメ系作品もありますし。
ジャンルを問わずに多くの本を読む事自体は良い事ですが、読む本を選ぶのも大事だし、本の内容が100%正しいという事は無いのも事実。
少なくとも本の内容を真に受けすぎたり、読むジャンルや思想の方向性に偏りがありすぎるのは問題ですものね。

また仕事においても楽しい面や辛い面があり、人においても長所と短所がある。
どちらか一面だけを見るのではなく、複数の面を見て判断するのが最適な選択をする上では大切なのでしょうね。

良作を見分ける基準

「文句なしにいい作品というのは、そこに表現されている心の動きや人間関係というのが、”俺だけにしか分からない”、と読書に思わせる作品です。」

65ページ 2.批評眼について

いわば読む人が共感出来る、その人にとって普遍性がある作品といったところでしょうか。
面白いかつまらないか、好きか嫌いか、そういった点も作品選びにおいては大事だけれども、
「その作品を読者がどれだけ深く理解出来るのか」という点が作品の良し悪しにおいては一番重要なのかもしれません。
そう考えると「その作品がその読者にとって良作か否か?」ってのは、作品及び読者にとってまちまちなのも当然なのですかね。
そもそも作品への理解に関しては、読者の読解力や知識、作者の背景(生き方や経歴など)というのが大きく関わってくるでしょうし…
それは文学・小説においては勿論、音楽や映画などにおいても言える事でしょうね。

低評価も受け入れよ

「自分の表現したものが自分から離れてしまえば、他人から見て何か言われることは、覚悟の上だと考えるのが普通ではないでしょうか。」

80ページ 2.批評眼について

これは正に全ての表現者に言える事ですね。
作家、ミュージシャン、役者、芸術家…プロの方は賛否両論あるのは当然だと割り切らなければ、仕事としてやっていけないでしょうし。
そもそも万人に好まれる作品ってのはありません。
どんなに大人気アーティストにもアンチは付き物だし、大好きなアーティストの作品であっても中には苦手な作品だってあるもの。

プロに限らずアマチュアであっても、YouTubeに「歌ってみた」系の動画をアップする方もいます。
その方達もネットを通じて世界中に発信する以上、アンチコメントが来るのは覚悟の上で活動している筈。
更に言うなら私が作成しているブログだってそうですかね。
現段階では閲覧者はまだまだ少ないけれど、ネットで記事をアップしている以上、「記事という形の作品を手放している」という事には変わりありませんし。

あまり辛辣だったり暴言が酷すぎるコメントがいざ来ようものなら正直落ち込みます…
とはいえ辛辣でも的を得ているコメントも存在している事も事実。
プロ・アマ問わずにどんな形であれ、何かを世に発信している以上、低評価の意見にも目を向けるのは重要かと思います。
それが自身の成長に繋がる事だってありますしね。
(とはいえあまりにも暴言が酷かったらスルーしちゃいますけど💦)

もし誰にも貶されたくないという作品があるのであれば、吉本氏が本で述べている通り、自分に分かる範囲で蓄えておくのが最善の策でしょうね。
それは誰にも汚されたくない大切な想いが込められた宝物といえますし。
その宝物が自身が活動していく上でのモチベーションにもなり得る事もあるでしょうね。

読後、改めて思う事

上記の項目においては3点ほど紹介しましたが、他にも印象に残った点はあります。
「戦争は全て悪」「倫理は極端すぎると暴走する」…混乱に満ちた今の時代に読むとより生々しく感じました。
これらの点に関しては機会を改めて紹介したいと思います。

今回紹介した「毒と利」や「良作を見分ける基準」に関しては、私も読書好きでありブログをやっているという事があった為、身をつままれる感じでした(笑)

吉本隆明氏は戦前~前後を生き抜いた方であり、色んなジャンルで評論活動していた方だから、思考の奥深さは流石としか言い様がありません。
今後も『真贋』を読む事で、有意義な人生を送る上でのヒントを得られていけたら幸いです。

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