漫画『ニューノーマル』感想② – 暴くのは好奇心? –

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今回は2巻がメインになるので、2巻のリンクを貼らせて頂きます♪

覆い隠されているのは人の鼻と口だけとは限りません。
人の本心と過去。
高い壁で囲まれた東京。
そしてBP(感染拡大以前)時代の文化も…
『ニューノーマル』の世界においては、ありとあらゆるモノが覆い隠されていますね。

ちなみに日本人には建前を良しとし、本音を主張するのはNGという風潮があると言われています。
本音を口にすると、角が立ってトラブルの原因になる可能性がある。
それに他人に本音を非難されて、傷ついたり恥をかくのは誰しも嫌なもの。

「表情は言葉以上に正直だ」と昔から言います。
特に口元と目元には、人の感情が表れやすいですし。
勘の良い人にソコを観察されれば、本音を見透かされてしまう場合もあります。
だからこそ鼻と口を覆い隠す。
それは本音、いわば自分自身を守る事にも繋がるのでしょう。
もはや日本人特有の気質であるかもしれません。

“ある年に世界的パンデミックが起きた。
人々は感染対策の為にマスク着用を国から呼びかけられる。”

そのルールが元々日本人に備わっていた風潮と気質を視覚化し、より強調する事になった。
そして鼻と口を隠す事が文化となり、2040年代になっても未だ継続中。
『ニューノーマル』の時代背景はいわばそんな感じでしょう。

隠されているコトに価値アリ?

前回でも述べた通り、この漫画の時代においてはマスクが既に義務化しております。
誰もが「自分以外の他人の素顔」を知りません。

隠されているからこそ「知りたい」という欲求が湧いてくる。
例えば”週刊誌の袋とじ”なんてそうかも。
中身は女性のグラビア写真だと分かっているけど、
隠れているからこそ「より際どいショットもあるのでは…」という気持ちが湧いてくる。
いわば多い隠す事で人の好奇心を煽る

人の顔にしろ、洋服の下にしろ…
多い隠されている事により、人は「覆い隠された部分はどうなっているのか…?」って
想像を巡らせてしまう。
(私含めた男性なんて特にその傾向が強いかも)

もしその多い隠された部分を知りたければ、それ相応の代償を払わなければいけない。
そう書くと何だか大それた話っぽくなりますが、週刊誌の袋とじグラビア程度ならば
たいてい数百円を払ってその週刊誌を買えばいいだけの事。

しかし人の素顔であるならば、相応の苦労は必須となる。
漫画『ニューノーマル』の世界において、男性が気になる女性の素顔を知りたいのであれば、
その男性は女性を振り向かせる努力が必須となる。
(それは今の現実世界においてもそうなりつつありますね…)

触れられたくない部分

人は誰しも触れられたくない部分がある。
それは何も物理的なものだけとは限りません。
人の気持ち(本音)及び過去だってそうでしょう。

この漫画のヒロイン夏木はとあるキッカケにより、相良雅人という防疫隊の男性隊員と出会います。
相良さんは住処のサガラサイクルに居る時はマスク着用せずに素顔で生活。

第7話~8話にて夏木さんが相良さんの住処を訪れた際、不用意にも”壁の向こう側”に関する事を相良さんに聞いてしまう場面があります。
その途端、相良さんに床に仰向けの姿勢で伏せられてしまいます。

「(壁の)向こう側のことを話せって言うなら、まずはお前がそれ(素顔)を晒せ」

第8話「隔離」(第2巻収録)

「どうしても知りたければ、相応の代償を払え」という事でしょう。
それだけ相良さんにとっては触れられたくない事なのかもしれません。
それは防疫隊としての守秘義務のみならず、相良さん自身の気持ちや過去も含めて…。

素顔で過ごしており、この漫画の時代においては違法とされているタバコを嗜む。
”サガラサイクル”の中でこそ、素の自分を晒している相良さん。
”相良雅人”という名前は『”相良雅人”になる前の自分』を覆うもの。
こうして相良さんの事を振り返ってみると、過去や本心などあらゆるものを覆い隠している人物だと言えますね。

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